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産婦人科の診療時間・診療担当医表
※平成30年4月から、産婦人科の外来診療体制が変更します。
【変更内容】
2018年4月より、土曜日午前の外来診療を完全予約制に変更します。
※紹介患者さんにおかれましては、予約外での受診も可能ですが、紹介いただいた医師以外が診療を行う可能性がございますので、あらかじめご了承ください。
【診療受付時間】
土曜日 8:00〜10:30
【電話予約受付時間】
平日(月〜金) 14:30〜16:30
【ご連絡先】
代表番号(058-388-0111)より、産婦人科外来へご連絡をお願いいたします。
その他、詳細は下記URLをご確認ください。
https://www.matsunami-hsp.or.jp/oshirase/15611/
役職 | 氏名 |
---|---|
病院長 兼 まつなみリサーチパーク 研究員 | 松波 和寿 |
内分泌臨床研究センター長 兼 まつなみリサーチパーク 研究員 | 今井 篤志 |
産婦人科周産期医療対策室長 兼 まつなみリサーチパーク 研究員 | 川鰭 市郎 |
産婦人科第一部長 | 髙木 博 |
産婦人科第二部長 兼 まつなみリサーチパーク 研究員 兼 がんセンターがんゲノム医療部門部門長 | 市古 哲 |
産婦人科 医員 | 安部 茂 |
産婦人科 医員 | 二村 汐美 |
周産期 : 川鰭・安部・二村
悪性腫瘍:今井・市古
腹腔鏡下手術:髙木
不妊症:松波
更年期障害:今井
骨盤臓器脱:髙木
当院産婦人科は日本産科婦人科学会認定医である常勤医5名と岐阜大学から1名の非常勤医師の協力により、地域住民の皆様に「婦人科腫瘍学」「周産期医学」「生殖内分泌学」「女性医学」の産婦人科すべての分野において、24時間体制で安全かつ質の高い診療・治療を提供することを最大の目標としています。女性の一生の健康管理を対象としており、子宮がん・卵巣がん健診のみならず乳腺外科との連携により乳がんを含め様々な検診も行っています。
2016年4月より周産期治療専門医が加わり、質の高い診断・治療を提供できる環境が整いました。胎児ドックを開設し、超音波による胎児発育や各臓器の形態を観察するとともに、胎児の機能的な問題点もスクリーニングします。このような精密な検査をもとに診断された患者さんを総合病院としての特性を生かし、小児科のみならず麻酔科・内科・外科・脳神経外科などとの連携によりさまざまなケースにおいて、スピーディーに対応し質の高い医療を提供します。NICU対応が必要な患者さんに対しては、「岐阜県妊婦救急搬送システム」に従い、地域の主幹病院である県総合医療センターや長良医療センター・岐阜大学病院などと綿密な連携を図り、患者様が安心して分娩を迎えられる施設として日々努力しています。 助産師によるケアサポートは産後1ヶ月健診だけでなく退院後1週間にも行い、分べん直後からすべての時期に患者・家族に寄り添うトータルケアサポートを目指しています。また母乳マッサージを昼夜問わず、他院で分娩された方も含め、自律授乳を目標に乳房管理の支援を実施しています。 分娩後は十分な休養もなく自身のケアもないまま、慌ただしく育児が始まります。当院では資格を有する専任スタッフがリラクゼーションを目的として全ての患者様にアロママッサージを実施しています。香りの選択も可能でご希望に沿った癒しのひとときを提供します。
不妊症治療では、極力自然な妊娠を目指しています。しかしながら女性因子・男性因子など様々な原因により、自然妊娠が困難なカップルが近年増加していることは周知のことと思います。このため系統的な検査を行い、治療のスタートをタイミング指導による自然妊娠とするか、人工授精からにするか、あるいは最初から高度生殖補助医療(IVF-ET)が必要かを判断しています。また画一的治療ではなく、個々の年齢に応じ治療内容を変化させ、可能な限り早期に妊娠成立できるよう計画しています。また泌尿器科と連携し、micro TESE-ICSI(顕微鏡下精巣精子採取顕微受精)を実施し良好な成績を得ています。 不妊治療では治療テクニックのみならず精神的ケアのバックアップも重要であり、当院では不妊カウンセラー・体外受精コーディネーターの育成にも力を入れています。 原発性無月経はホルモン不応症や遺伝子・染色体異常などが原因となることが多く、治療法が確立していない場合があります。思春期・小児期に見つかることが多く、その子の将来に密接に関わるため、当院では生殖医療指導医が治療にあたっています。 平成25年8月より結婚前に性感染症や不妊のリスクなどを調べるブライダルチェック外来スタートしました。血液検査や超音波検査を行い、感染症以外に子宮や卵巣の状態を知ることができ、晩婚化に伴い子宮頸がんの有無を確認することも重要な検査項目となっています。
近年手術を取り扱う施設の減少により、悪性腫瘍であっても数ヶ月の手術待機期間が生じているとの問題をよく耳にします。当院では可能な限り早期に対応できるよう無駄のない診療計画を心がけており、他院からの紹介も積極的に受けています。 婦人科腫瘍においては腫瘍治療専門医を中心に、子宮筋腫や子宮腺筋症などの良性子宮腫瘍だけでなく、進行した子宮体癌・子宮頚癌・卵巣癌の症例に対しても積極的に手術を行っています。また異所性妊娠に伴う腹腔内出血や卵巣腫瘍茎捻転などの緊急対応が必要な症例では24時間対応しております。 子宮筋腫や良性の卵巣腫瘍・異所性妊娠に対しては開腹手術だけでなく積極的に腹腔鏡下手術を実施し良好な成績をおさめています。 子宮頚部異形成や初期子宮頚がんに対しては、短期入院でのループ電気外科切除であるLEEPにて対応しています。 子宮悪性腫瘍に対しては放射線治療装置の稼働により、手術療法・抗癌化学療法・放射線療法の集学的治療が行っています。治療は一人の医師の判断ではなく、婦人科治療専門医を中心にチーム内で総合的に判断し、個々の症例に最も適した治療法を提供したいと考えています。 また岐阜大学との連携において、日本婦人科腫瘍学会の定めるガイドラインに準拠し、早期子宮体癌に対してロボット支援下手術を開始しました。従来の腹腔鏡手術と異なり、コンピューター制御下で手ぶれがなく多関節機能を有する鉗子使用することでスムーズかつ安全な手術を実施することが可能です。また鮮明な3D画像やデジタルズーム機能により画像を自在に拡大することができ、今までは見えなかった血管・神経・膜構造を認識しながらロボットアームの手振れのない、ゆっくりとした操作を行うことができます。これにより今までとは比べものにならない精緻な手術が可能となりました。開腹手術と最も異なる点は、詳細な術野(画像)を執刀医のみならず多くの医師で共有することができ、難渋する症例であっても速やかに対応が可能なことです。
子宮脱は中高年女性の生活の質「QOL」低下に影響を与える疾患です。従来は多くが子宮脱と診断されていましたが、実際は骨盤内にある膀胱・子宮・腟・直腸などが本来の位置から下垂して腟から脱出してくる状態で、近年この病態に対して骨盤臓器脱という名称が用いられるようになりました。ペッサリーを使用した保存的治療では積極的に自己着脱を指導し、高齢であっても多くの方がQOLを維持できています。手術療法としては従来法である腟式子宮全摘術及び腟壁形成術、腟断端仙骨子宮靭帯あるいは仙棘靭帯固定術に加え、TVM手術(腟前後壁をポリプロピレンメッシュで補強)を実施しています。85才以上の高齢者や合併症を有した場合には腟閉鎖術やマンチェスター手術など個々の症例に応じた最適な治療法を提供し「QOL」の向上を目指しています。 以上のように最近の臨床では専門化・細分化は著しく、当院でも各スタッフが専門性を発揮し治療に携わっています。主たる担当医は以下のようですのでこの点を考慮いただき紹介あるいは受診していただくとスムーズな診療につながるかと存じます。
クリニカルインディケーター(医療の質の指標)・診療実績はこちら
項目 | 件数 |
---|---|
分娩総数(内 多胎妊娠) | 139件(0件) |
帝王切開(内 緊急) | 43件(8件) |
周産期死亡(22周以降) | 1件 |
手術室手術 | |
子宮附属器腫瘍摘出術(内 腹腔鏡下) | 26件(19件) |
子宮筋腫核出術(内 腹腔鏡下) | 14件(5件) |
腹式子宮単摘 | 30件 |
膣式子宮単摘 | 12件 |
腹腔鏡下子宮単摘(TLH) | 6件 |
子宮悪性腫瘍手術 | 12件 |
子宮附属器悪性腫瘍手術 | 8件 |
子宮頸部円錐切除術 | 21件 |
その他膣式手術 | 10件 |
骨盤臓器脱手術(内 TVM) | 13件 |
子宮頸部高度異形成(含上皮内癌) | 18件 |
子宮頸がん | 9件 |
子宮体がん | 11件 |
卵巣癌(含境界悪性・卵管癌)根治術 | 8件 |
体外受精・顕微鏡授精、 子宮鏡、胎児ドック、 新生児聴力検査
お母さんのお腹の中に赤ちゃんを授かってから、家族みんなが「健康に生まれて欲しい」「お腹の中で順調に育って欲しい」と願っています。 胎児ドックでは、超音波画像診断によりお腹の中の赤ちゃんの成長を確認する事や問題を確認する事が可能な検査です。 当院では、長良医療センターで勤務されていた川鰭先生が2016年より松波総合病院に勤務になり、胎児ドックを多くの方に提供する事ができるようになりました。 胎児ドック(対象は妊娠20週頃と30週頃の胎児)は外来にて超音波(スクリーニング)による胎児の発育や各臓器の形態、又羊水量の観察をします。胎児の動きなど確認することによって胎児の機能的な問題点も超音波(スクリーニング)の対象となります。検査で問題を可能な限り探っていきますが、胎児の方向や動きなどによって、確認が出来ない場合もあります。 どんなに超音波診断装置や技術が進歩しても、100%の診断は不可能です。しかし、今まで培ってきた経験や技術を出来るだけ多くの皆さんに提供したいと考えております。 万が一、何らかの問題が指摘された場合には、さらに詳細な検査を行います。その上で当院の小児科などと連携したり、他の病院を紹介したりして最善の策を考えていきます。 胎児ドックは人間ドックと同様に、残念ながら健康保険を使うことができません。 料金について、1回 8,800円(税込) 希望の方は、松波総合病院 産婦人科までお問い合わせください。
※超音波検査による動画をご希望の患者さんは、USBデータの持参をお願いします。
〇変更前…個室使用料:10,000円(非課税)
↓
〇変更後…個室使用料:頂きません
ご家族との面会や、産後のお時間もゆっくりとお過ごしいただけます。
※個室が満室の場合、4人部屋に入院いただきます。個室が空き次第、ご案内いたします。予めご了承ください。
里帰り前に、かかりつけ医の紹介状(検査結果を含む)を用意していただき、一度当院の妊婦健診へお越しください。
その際に、妊婦健診の説明、分娩予約、母親学級の案内などの説明をさせていただきます。
●来院時期:妊娠20〜24週(赤ちゃんの心臓や臍帯などをエコーで確認するため)
川鰭医師により、エコーで胎児スクリーニングをさせていただきます。
●来院曜日:毎週火曜日・水曜日の午前中
来院可能な日にちが決まりましたら、電話でご予約をお願いします。
「里帰り出産」であること、「紹介状を持っている」ことをお伝えください。
●予約連絡先:松波総合病院 地域医療介護連携室 058-388-0111(代)
(平日)8:00〜19:00 (土)8:00〜12:00
1:北館1階受付で、受付をしていただき紹介状をお渡しください。
2:北館2階 産婦人科受付で、問診票の記入をお願いいたします。
3:計測、診察(妊婦健診)
4:助産師より説明・分娩予約・母親学級のご案内をいたします。
●血液型の検査(自費)をさせていただいております。
●最終的な里帰りは、34週頃になります。
●その際にも、紹介状を用意させていただき、電話でご予約をお願いします。(同上)
皆さまにお会いできる日を、スタッフ一同楽しみにしております。
分娩の経過や過ごし方、授乳のことなど入院中の生活に重点をあて、説明します。
赤ちゃんのこと、お風呂の入れ方、授乳のことなど実践形式で説明していきます。
陣痛室・分娩室が一緒になっていることで、陣痛時の移動がなく、分娩終了まで1つのお部屋で過ごしていただくことができます。
24時間助産師が電話対応します。必要な場合は、夜間でも医師の診察を受けることができます。
お母さん、赤ちゃんの状態によって、早めに退院することも可能です。 その際はスタッフにご相談ください。
授乳の方法を中心に、説明します。
赤ちゃんのお風呂の入れ方を説明します。入院中実際に入れられることも可能です。
退院から1か月健診までのお母さんの体や心の変化について、また、赤ちゃんの状態について説明します。
お母さんの栄養について説明します。
退院してからおよそ1週間後のお母さんと赤ちゃんの状態を助産師が看させていただきます。 自宅に帰って悩んだことなどありましたら、ぜひご相談ください。
産婦人科医・小児科医による診察をさせていただきます。助産師が駐在しておりますので、悩みがありましたら是非声をおかけください。
小児科医により、生後1日目と退院時に診察をおこないます。
当院では、笠松町「育児ほほえみ相談」業務委託事業 『産後ケア・あいいく』を実施しています。
対 象 者:二歳未満の乳児をもつ保護者の方
内 容:育児相談・授乳相談
場 所:まつなみ健康増進クリニック【仮設診療所】
料金 | |
---|---|
初 回 | 2,160円(税込)・当院出産の方 |
3,240円(税込)・他院出産の方 | |
2回目以降 | 1,620円(税込) |
最近、『不妊症』という言葉をよく聞くけど、自分は大丈夫?という方の不安にお答えします。
その他にも受けられる検査項目があります。ご相談ください。 水曜日の午後にご予約承ります。TELにて産婦人科にご確認ください。
内診見出し | エコー | 超音波検査(経腟法) | 12,000 |
---|---|---|---|
子宮がん※1 | 子宮腟部頚管細胞診 | ||
内診 | 性感染症 | 淋菌・クラミジア | |
血液検査 | 血液一般 | 末梢血液一般 | 23,000 |
血液化学検査8項目 | |||
HbA1c | |||
感染症 | HBs抗原 | ||
HCV抗体定性・定量 | |||
HIV | |||
梅毒 | |||
風疹※1 | ウイルス抗体価 | ||
血液型 | ABO血液型 | ||
Rh(その他の因子)血液型 | |||
血液検査 | ホルモン | FSH(卵胞刺激ホルモン) | 6,000 |
E2 | |||
尿検査 | 尿中一般検査 | 600 | |
合計 | 41,500 |
オプション | トキソプラズマIgG抗体 | 1,500 |
---|
TELにて泌尿器科にご確認ください。
血液検査 | 血液一般 | 末梢血液一般 | 23,000 |
---|---|---|---|
血液化学検査8項目 | |||
HbA1c | |||
血液一般 | HBs抗原 | ||
HCV抗体定性・定量 | |||
HIV | |||
梅毒 | |||
風疹ウイルス抗体価 | |||
血液型 | ABO血液型 | ||
Rh(その他の因子)血液型 | |||
淋菌・クラミジア | |||
精液一般検査 | 1,400 | ||
合計 | 24,400 |
TEL予約 : 代表 058-388-0111(平日のPM2:30~4:30)
1978年7月25日、世界初の体外受精児ルイーズ・ブラウン嬢がイギリスで誕生しました。それ以来、何十万人の体外受精児がこの世に生を受けています。 先進国では、年々出生率が低下していく傾向にあります。しかしながら、子供をつくらないことと、子供ができないこととは全く別の問題です。不妊の悩みは人々の人生に様々な影を投げかけます。どうしても子供を欲しいと切望するカップルの熱い思いは、命の川を絶やさないという人類の根源に基づく尽きることのない願いだからです。
人々の夢を次々と実現してきた科学技術の進歩の中、ここ十数年の不妊症治療の進歩は目を見張るものがあります。体外受精は現在のところ不妊治療の最終的な治療法として定着し、技術の進歩とともに妊娠率は年々向上してきています。当院でも1995年から体外受精を開始し、現在までに数百名の赤ちゃんが誕生しています。さらには、全く精子のないいわゆる無精子症の方の、精巣精子を使っての顕微授精という最先端の方法での妊娠例が増えてきています。これらの治療法によって、今までは絶望視されていた難治性不妊症にも妊娠成立のチャンスが訪れてきているのです。 不妊症は決して一人で悩む事ではありません。 我々にご相談ください。ご期待に副うよう全力で治療をさせて頂きます。当院では、体外受精以前の治療(タイミング、子宮内人工授精)での妊娠成立をまず目指します。
体外受精・胚移植法とはどんな方法なのでしょうか。この方法で世界で初めて誕生した赤ちゃんは、試験管ベビーと呼ばれました。それは卵子と精子を試験管の中で混ぜ合わせて受精させ、さらに培養を続けてその受精卵を子宮へ戻して妊娠させたことからきています。 卵子は排卵直前に経膣的に超音波装置で観察しながら、針で穿刺し採取します。そして十分成長した受精卵は、人工授精と同じような要領で膣から子宮内へ戻します。このように体外受精とは、卵子と精子の受精が女性の体内(卵管)ではなく、体外で行われることから付けられたのです。
体外受精が世界中に普及し、10数万のカップルがその治療を受けるようになりました。技術的にもかなり安定し、信頼性も高まってきました。10数年も治療を受けても妊娠できず、体外受精の治療を受けて妊娠に成功した夫婦の数は少なくありません。しかし、この方法も万能ではありません。妊娠成功率はなかなか良くならず、まだまだ問題が多いのも事実です。体外受精を受ける前に、不妊の原因はどこにあるのか系統的に検査をし、それに基づいて治療を受けることが大切です。 今まで受けてきた治療法も大切な方法です。まずは、それらの方法を根気よく受けましょう。そして、どうしても妊娠できない場合には体外受精法を行いましょう。しかし、女性の年齢とともに起こってくる卵子の老化と数の減少はどうしても避けられない障害になります。この意味から、他の方法で妊娠することが難しいと判断された場合は、なるべく若い時期に体外受精法を受けるようにしたいものです。
体外受精法は、通常の不妊治療ではどうしても妊娠できない場合(難治性不妊症)に対して行われる治療法です。例えば子宮外妊娠を繰り返し、左右の卵管が無い場合、感染症で卵管が閉塞してしまい、卵管形成術を受けても不成功に終わった場合などは体外受精法によってしか妊娠の可能性はありません。子宮内膜症が原因の不妊症で、薬の治療や手術療法を行っても妊娠できない場合も同様です。精子が少なく、運動率も悪く、人工授精を長期にわたって繰り返しても妊娠できない場合も同様です。 この他、種々の検査を行っても不妊の原因が分からない原因不明不妊症、あるいは女性側に精子に対する抗体ができて妊娠できない免疫性不妊症も体外受精の良い適応になります。 ただし、体外受精を受けられるのは正式に婚姻しているご夫婦に限られ、また心身ともに妊娠・分娩・育児に耐えうる状態であることが必要です。
最近、女性の晩婚化はますます進み、40 才を過ぎて赤ちゃんに恵まれないカップルが増加してきています。そして、年とともに赤ちゃんを切望する気持ちは強くなるようです。しかし、体外受精の妊娠率は35才頃から低下し始め、40才を過ぎるとさらに低下します。これは、人間の老化現象であり避けられないことです。このようなことを考えると、今まで受けていた不妊治療からいつ切り替えるか大変迷うところです。治療を行う立場から言うと、30才代前半には体外受精法を開始し、少なくとも3~4回行うことができれば、かなり優秀な成果が挙げられると考えます。 つまり30才以降の女性で3~4年通常の治療を受けても妊娠できない場合は、体外受精法を受ける決心をした方が良いのです。今まで人工授精を受けている方は、5-6回ぐらい人工授精を繰り返しても妊娠できない場合、体外受精を考えた方が望ましいでしょう。卵管が原因と考えれる方は、卵管を開通する手術を行うか、それでもうまく行かないときはやはり体外受精に切り換えます。子宮内膜症などで、腹腔内癒着が考えられる場合も同様です。また、原因不明の不妊症に対しても、なるべく早期に切り換えた方がよいと思います。勿論、体外受精に切り換えるかどうかは、ご夫婦の経済力、家庭環境、人生観、倫理観などによって左右されることです。
1回の体外受精法での妊娠率は残念ながら30%前後です。勿論1回で妊娠される方もおられますが、40代の方で7~8回でやっと妊娠される方もいます。いったい何回くらい体外受精法を受けたら元気な赤ちゃんに恵まれるのでしょう。多くの不妊センターからの集計では、妊娠例の大部分は(90%)は最初の5回までの体外受精で達成されています。
日本においては、500近い施設で体外受精が行われています。毎年日本では新しい赤ちゃんが120万人産まれていますがその中には、約1万2千人の体外受精で妊娠した赤ちゃんが含まれています。実に1%の赤ちゃんは体外受精で生まれているのです。もはや、不妊治療には不可欠な治療法であり、一般的方法といえるでしょう。
日本産婦人科学会によるわが国での体外受精法の成績と当院の成績です。
年度 | H11年 | H12年 | H13年 | H14年 |
---|---|---|---|---|
移植当たりの妊娠率 (当院) | – | 30.8% | 29.9% | 40.1% |
移植当たりの妊娠率 (日本標準) | 27.6% | – | – | – |
当院ではさらに、無精子症のかたの精巣精子を使った顕微授精によりすでに数人の赤ちゃんが誕生しています。 この技術を持っている施設はまだまだ限られています。この分野の技術の進歩は日進月歩です、常に最先端の治療が提供できるよう努力しています。
体外受精法では強力な排卵誘発を行うため、卵巣が大きくなり、腹水がたまったりする場合があります。特に妊娠に成功すると胎児がホルモン(HCG)を盛んに分泌するために、それが母体の卵巣をいっそう刺激して卵巣はますます大きくなり、腹水も増加してきます。こうなると血液中の水分が少なくなり、血液濃縮状態となり、固まりやすくなります。
そこで、水分補給が大事になります。時には入院し点滴で水分、電解質を補給することも必要になります。この卵巣過剰刺激症候群も妊娠が成立しない場合には月経発来とともに小さくなり、元の大きさに戻ります。妊娠した場合はその状態が妊娠6~8週には元の卵巣になり腹水も自然に吸収されます。
次に、多胎妊娠の発生があります。妊娠率を向上させるために3個前後の受精卵を移植するため、約15%に双胎妊娠が、約4%に品胎妊娠がみられます。多胎妊娠の結果として、早産および体重2500g以下の低出生体重児の増加があげられます。理想的にはやはり一人の妊娠が安心です。
体外受精法による妊娠は自然の妊娠に比べて流産率が高いという報告があります。年齢によっても異なりますが統計的には15~20%程度で、特に40歳以上で30~40%と高くなります。子宮外妊娠の発生率は4.7%程度と報告されています。子宮内に胎児の発育が確認できるまでは大人しくしていましょう。下腹部痛、出血などある場合は受診するようにしてください。
体外受精法によって出生した赤ちゃんが心身とも健康で元気に育って行くかどうかは、体外受精法の成功率とともに大変重要な問題です。わが国を含めて世界各国が出生後の赤ちゃんの発育状況を追跡調査するのはこのためです。既に世界中で過去10数年間に数十万人の体外受精法による赤ちゃんが出生し、この面での安全性は確立したように思われます。今までの統計では先天異常児は1%強とされています。この頻度は自然妊娠での発生頻度とほぼ同じ範囲と考えられます。 つまり、体外受精法による出生児に先天異常が多いのではないかという心配はありません。
採卵をするときに軽い静脈麻酔を行いますので、一般の手術を受ける前に行うのと同様な検査を行います。血液型・貧血・肝機能・腎機能・止血機能・B型肝炎・C型肝炎・梅毒検査などです。 その他、必要に応じて不妊症関連の検査をしますが、ほとんどは体外受精に至るまでに検査されているはずです。
病名 | 治療・検査名 |
---|---|
子宮内膜症 | 腹腔鏡検査 |
無精子症 | 精巣精子-顕微授精 精巣上体精子-顕微授精 |
1 | 2 | 3 | 4 | |
検査期 | タイミング指導 | 人工授精 | 体外受精 | |
1~2ヶ月 | 6ヶ月 | 6ヶ月 | 1年 | |
検査 | ホルモン検査卵 管造影検査 ヒューナー検査 精液検査 自己免疫検査 細胞診 超音波 | 超音波検査 1周期3回まで | 超音波検査 1周期3回まで | 超音波検査適時 ホルモン検査 |
指導・治療 | 基礎体温 | 基礎体温 排卵の有無 タイミング指導 | 基礎体温 子宮内人工授精 | 体外受精 顕微授精 凍結胚融解移植 胚盤胞移植 |
薬品 | 排卵誘発剤 クロミフェン FSH/hMG | 排卵誘発剤 クロミフェン FSH/hMG | GnRHa+ FSH/hMG |
から成り立っています。それぞれ簡単に説明します。
妊娠率を高めるためには、良質な卵が多数必要になります。そのため、下垂体性性腺刺激ホルモン(hMG)を注射し多くの卵胞を発育させます。卵胞の発育は超音波による診断や血中のホルモン(エストラジオール・E2)の測定によって、その数と成熟度を推定します。その後、胎盤性性腺刺激ホルモン(HCG)を注射し採卵を待ちます。hMG投与の前にGnRHa(ナサニール)という点鼻薬を併用します。これによってさらに良質な卵が採れるようになりました。
採卵法にはいろいろありますが、通常経膣採卵法によって行います。外来で卵胞の大きさを診るときに使う経膣超音波を使いながら、膣から採卵針を差し込んで卵胞液とともに卵子を吸引します。採卵前に軽く麻酔をかけますので痛みはほとんどありません。また、採卵時間も15分ぐらいで終わります。お昼に入院し、夕方には帰れます。 |
ご主人の出番です。採卵の当日、病院でマスターベーションによって採取していただきます。4~5日は禁欲しておいてください。病院で採取容器と、消毒綿球を渡しますので、清潔な状態で採取します。ご主人の出番はこの日だけですが、採卵後あるいは胚移植前後なども付き添われると心強いものです。
採取した卵子は数時間培養して成熟させます。精子は培養液で処理し、良好精子だけを選別します。その後卵子と精子を一緒に混ぜて受精させます。採卵の翌日受精が成立したかどうか判定します。精子が2匹以上卵子に入ってしまった状態を多精子受精と呼び、移植はできません。また、受精が成立しない場合も移植は中止になります。
受精に成功し発育した受精卵は、受精後2~3 日後に子宮に戻します。これを胚移植と言います。胚移植は人工授精と同じ要領で行い、数分で終了し、麻酔も必要ありません。胚移植時はお腹から超音波を当て、胚移植カテーテルを観察しながら子宮腔の正しい位置に移植します。そのため膀胱に尿をためておく必要があります。 移植は良好な受精卵を3個移植すると妊娠率が高いとされています。しかし、多胎妊娠を防ぐために1~2個に制限することもあります。 胚移植後は数時間ベッドで安静にしていただきます。この日もお昼入院、夕方帰れます。胚移植後、しっかり着床するまでに3~4日かかります。このあいだは、心身ともにゆったりと過ごしましょう。セックスは妊娠の成否が判るまでやめておきましょう。仕事は激しい肉体労働以外通常通りでかまいません。スポーツも控えましょう。 |
胚移植後、着床を助けるために黄体ホルモン(プロゲステロン)や、胎盤性性腺刺激ホルモン(HCG)を注射します。その時一つ注意しなければいけないことがあります。 注射によって卵巣が過剰に反応し腫大する状態(卵巣過剰刺激症候群)が発生することがあります。下腹部膨満感、尿量の減少、などありましたら連絡してください。胚移植後約2週間で妊娠の成否を確認します(尿の妊娠反応)。以上が、体外受精・胚移植の流れです。途中、血液検査、超音波検査を随時行いますのでご了承ください。
当院では、次のような技術を行っています。
文字通り顕微鏡で見ながら一匹の精子を一ケの卵子の中に入れ受精させる方法です。卵細胞質内精子注入法(ICSI)の開発により殆ど全ての重症男性不妊症は妊娠が可能となりました。 通常の体外受精で受精しない、あるいはしにくい場合、顕微授精を行います。
などが適応になります。
卵子を採取するのは通常の体外受精と同じです。違いは顕微授精の場合は精子を一匹のみ選択し、卵細胞質内に針をさして注入し受精させます。精子は良く運動し形態的に最も良いと思われる精子を用います。 現在はこの細胞質内精子注入法(ICSI:イクシー)が最もよく行われています。
余剰胚を特殊なプログラムフリーザーにより凍結させて液体窒素に保存することができます。こ黷ノより、一回目でうまくいかなくても次回は融解卵を移植することで妊娠するチャンスが増えます。特に、子宮内膜に問題がある場合は人工的に子宮内膜を厚くしておいて移植すると妊娠率が上がります。 胚の凍結に関しては別の書類が必要になります。人の命を保存するのですから倫理的にも充分注意する必要があります。
いわゆる無精子症の場合、精巣あるいは精巣上体に精子があるかどうかを調べます。一匹でも精子が見つかればその精子を使用して顕微授精により妊娠することも可能です。泌尿器科で行いますので泌尿器科での説明があります。
胚が孵化(殻を破って出てくる)し易くする方法です。卵の膜を薬で薄くします。着床しやすくする一つの試みです。
通常の胚移植は2-3日後に戻します。5-6日間体外で培養すると、胚盤胞に育ちます。この胚盤胞を移植する方法です。より良好な胚の選別ができることと、子宮内の環境が胚の発育に適さない場合有効な方法です。
費用につきましては、医事担当へお問い合わせください。
※令和4年4月から体外受精などの基本治療は保険適用されます。
詳しくは◆厚生労働省ホームページ「不妊治療に関する取組」
体外受精法を受けると決心されたご夫婦は、具体的な内容と予想される妊娠率、また妊娠成立後の流産や胎児異常の発生の可能性などを医師が説明します。そして、充分理解と納得をされた後、同意書にご夫婦連名で署名をしていただきます。書類を提出されたご夫婦は正式に登録されます。登録された後、排卵誘発の方法、日時、体外受精の実施日を決定します。
生まれつき持っている病気を、症状が出る前に診断し早い時期に治療を開始することで病気によるデメリットを最小限にすることができます。現在20種類の病気が対象となっており公費で行われています。
当院はマススクリーニング追加検査対応施設です。
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