病院長あいさつ
松波総合病院は、明治35年に松波英太郎が加納の地に松波病院を創設して以来、百十余年の長きにわたり、創設者の信念を受け継ぎ、地域の中核的医療を担う社会医療法人として、『地域住民の皆様に安全で質の高い医療・福祉を効率的かつ継続的に提供する』ことを理念に掲げて今日に至っています。命を救う救急医療・高度医療・一般急性期医療から、早期社会復帰を目指す回復期医療やその後の亜急性期医療まで幅広く担当し、さらには地域の開業医との連携の強化、疾病の発生予防と早期発見、今後の未来を支える医療人の育成といった様々な課題にも注力してきました。
平成26年7月に、急性期医療に特化した新館(NOURTH WING)が完成し、ヘリポートをはじめとした災害拠点病院としての災害時の医療体制を整えると同時に、特に救急・急性期医 療の充足を図り、岐阜地域においては、脳卒中、心疾患患者等の搬送先として24時間迅速に対応できるよう、ハイブリッド手術室も含めて万全の体制をとっています。また、患者様への負担が少ない「低侵襲治療」も積極的に導入しています。「低侵襲治療」は高度な技術と最新鋭の医療機器によって成り立ちます。そのため鏡視下手術の技術向上に力を入れ、最新の手術支援ロボット「ダヴィンチ」も取り入れています。これにより、患者様は少ない負担で早い社会復帰が可能となります。 また、早く治るためには栄養状態が改善して、痛みが少ないことも大切です。したがって当 院では入院後の早い時期から、口腔ケア、栄養管理、疼痛管理等の専門チームが対応しています。なにより病気は発生予防と早期発見が大切ですが、当院では先ほど挙げた地域の開業医との医療連携による、皆様の健康管理の促進や、最先端のがんドック、健診後のサポート体制の充実を図るなど、予防医療にも力を入れています。
今後の展開においても、急性期医療が中心となることに変わりはありませんが、急速に進む高齢化に伴い、今まで以上に慢性期医療の需要が多くなることを鑑み、旧本館(SOUTH WING)の病棟改築と並行し回復期リハビリ病棟、地域包括ケア病棟、障害者病棟、介護老人保健施設の充実という近年でもっとも大規模な病棟再編を行いました。その結果、新たな体制として選択したのがスーパーケアミックスです。
スーパーケアミックスとは、「高度急性期・急性期医療」と「亜急性期・回復期医療」を車の両輪として有機的に連動させて、早期の自宅復帰を目指す医療体制です。当院だからこそ可能なシステムです。 松波総合病院は『医療の質』の向上を目指し、各種診療指標を公開しています。これによって、患者様の目からも他院の診療レベルとの客観的な比較が可能になり、それと同時に私たち医療従事者も診療レベル向上のための目標設定が可能となります。
また、効率の良い医療を提供するために、医師だけでなく医療スタッフ総力で行う多くのチーム医療を実践し、全ての医療スタッフがより多くの患者様と関わって診療するシステムも構築しています。さらに、積極的に院内カンファレンスや研修会を開催し、院内外の医療関係者に参加を呼びかけ地域全体の『医療の質』の向上を目指しています。 松波総合病院は、厚生労働省の指定する臨床研修指定病院であると同時に、認定専門医研修指定施設として若手医師の研修の場でもあります。高い専門性を有し、充実した指導医といつでも気軽に意見交換ができる研修病院です。 前述のごとく、当院は地域における中核病院としての使命を果たすべく、様々な取り組みを率先して行ってきましたが、今後は厚労省が提唱する地域包括ケアシステムを実現することが医療提供者の最重要課題です。急性期から在宅、介護まで切れ目のないケア提供を行うために、地域の医療機関との連携強化や、情報の共有化、地域の全体最適化を目指してまいります。
平成28年4月1日
社会医療法人蘇西厚生会 松波総合病院 病院長
松波 和寿
地域医療支援病院とは
患者さまは身近な地域の「かかりつけ医」から医療を提供されることが望ましいという観点から、地域における第一線の医療を担う「かかりつけ医」に対して、紹介患者さまへの医療の提供や施設の共同利用などの支援を行い、地域医療の充実を図る病院として、岐阜県知事から承認された病院のことです。
地域医療支援病院の主な役割
- 紹介患者に対する医療の提供
- 医療機器の共同利用
- 救急医療の提供
- 地域の医療従事者に対する研修の実施