医療情報

災害医療の最前線に立ちひとつでも多くの命を助けたい。

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松波総合病院は、地震や列車事故などの災害が発生した時の傷病者受入れ医療施設として、日頃から防災対策や訓練に力を注いでいます。 そして2015年8月には、当院にDMAT隊(災害派遣医療チーム)が誕生。岐阜DMAT指定病院のひとつとして、災害医療機能のさらなる強化・拡充に取り組んでいます。 そこで今回は、「日本DMAT隊員養成研修」を終え、隊員としての一歩を踏み出した八十川医師、杉原看護師に話を聞きました。

DMAT研修を終えて

img03[1] 10月13日、院内で開かれた 「DMAT隊員養成研修報告 会」では、約100名の職員が 参加。隊員の報告を聞きなが ら、病院としての使命感、日 頃の準備と訓練の大切さを再 認識しました。

2015年6月22日から25日にかけて、兵庫県災害医療センターで開催されたDMAT研修に参加しました。研修には、全国の医療機関から総勢50名が参加。当院からは、八十川雄図(医師)・朝川英範(医師)・杉原智子(看護師)・大野智子(看護師)・今枝篤希(調整役)の5名が参加して、講義やシミュレーション、グループワーク、実践訓練などを受けてきました。

そもそもDMATってなに?

img04[1] 気温35度の猛暑と闘いながら、 訓練をやりとげました。

DMAT(Disaster Medical Assistance Team)は、大地震や航空機・列車事故などが起こったとき、一刻も早く被災地にかけつけ、救急治療や災害医療を行うための専門的なトレーニングを受けた医療チーム(医師+看護師+業務調整員)のこと。1995年1月に起きた阪神・淡路大震災をきっかけに、震災直後の「防ぎ得た死」を減らそうと発足したもので、災害現場ではDMATが消防や警察、自衛隊などの関係機関と連携しながら、救助活動と並行して医療活動を行います。日本中を震撼させた3.11の東日本大震災では、3月11日から22日までの間、47都道府県から約340チーム、約1,500人の隊員が被災地で活動を行いました。

いざという時に備えて、実践さながらの訓練

img05[1] 電車の下に潜り、被災者を 救助する訓練では、あちこち にあざをつくりながら、 真っ暗闇の中を必死にほふく 前進。いや~大変でした。

JR福知山線列車脱線事故の現場写真を見ながら、実際にどんな対応が現場でなされたのかという話を聞いたり、トリアージ(多くの負傷者に効率よく対応するため、どの負傷者を優先して治療するか、どの病院に搬送すべきかを判断する)の仕方やトランシーバの使い方を実習するなど、研修では災害治療に求められる技術や知識を習得。最終日となる4日目は、地元消防隊との合同で、広域医療搬送を想定したSCU(ステージングケアユニット)訓練や、電車の下を潜って被災者を救助する訓練など、実践さながらの訓練を行いました。

多くのことを学んだ、充実の4日間

人も、医療資源・機器も、十分とは言えない災害現場で、ひとつでも多くの人命を救うことの難しさとやりがいを感じた4日間。被災地での救急医療の実際を学ぶと同時に、非常時における指揮系統の確立や情報連携の重要性、そして何より日頃の準備と訓練がいかに大切かを改めて感じました。また、常に危険と隣り合わせにある被災地で救急治療にあたるDMAT隊員一人ひとりに、的確で迅速な判断力が問われること。また、隊員自身のストレスケアの大切さも知ることができました。今回の研修で得た経験とノウハウは、この地域で災害が起きたときに役立つことはもちろん、院内での医療活動にも大きな力になると考えています。

そして5人はDMAT隊員に!万一の大災害に備え、準備と訓練を重ねていきます。

img06[1] 我らが松波総合病院の「DMAT」隊員の面々。 当院では、さらに2チーム目、3チーム目の DMAT隊員を養成する予定です。 (写真左から今枝、杉原、朝川、大野、八十川)

今回の研修を終えて、私たち5人は日本DMAT登録隊員となりました。災害は起こらないことが一番いいのですが、東海地方では、近い将来、高い確率で東海地震や東南海地震が発生すると言われています。その万一の時には、すぐに災害現場に駆けつけ、人命救助ができるよう、準備と訓練を継続して行っていきたいと思っています。皆さまからの応援、よろしくお願いします!
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