副院長 小林建司
いま日本人の大腸がんは増えています。そんな大腸がん治療の現場で注目を集めているのが、腹腔鏡下手術(ふくくうきょうかしゅじゅつ)。
では、腹腔鏡下手術とはどんな手術なのでしょうか。
大腸部門では岐阜県唯一の日本内視鏡外科学会技術認定医として、数多くの腹腔鏡下手術を手がけている小林建司医師に聞きました。
高度な技術と経験を要する腹腔鏡下手術とは?
おなかに開けた数ヵ所の小さな穴から、腹腔鏡と呼ばれるカメラと手術器具を入れて、モニター画像を見ながら、がんやリンパ節を切り取ります。私たち外科医にとっては決して簡単な手術ではありませんが、手術前におなかの中を立体的に捉える3Dの血管構成画像を作成し、患者さんによって異なる血管の位置を確認しておくなど、手術をより安全に、よりスムーズに行うための準備をした上で手術に臨んでいます。
最大のメリットは、傷が小さく、回復も早いこと。
実際の腹腔鏡下手術の様子
手術の傷が小さいので痛みも少なく、早期退院、早期社会復帰が可能になります。また、おなかの中の臓器を、長時間外部の空気にさらさないため、手術後の胃腸の動きの回復が早く、癒着も少ないため、腸閉塞が起こりにくいという利点もあります。順調ならば、術後1週間ほどで退院できます。
患者さんにやさしい腹腔鏡下手術は、さまざまな疾患に応用されています。
日本では20年前に始まった腹腔鏡下手術ですが、私たちの技術や医療機器のめざましい進歩によって、今では一般の開腹手術に匹敵する外科治療となっています。
また当院では、大腸がんだけでなく、胆石、胆嚢炎、虫垂炎、胃がん、直腸がんなど、日本で行われている腹腔鏡下手術はほとんど行っていますので、外来でお気軽にご相談ください。
大腸がん治療には早期発見が何より大切です!
大腸がんは、早く見つけさえすれば恐い病気ではありません。早期の大腸がんであれば、ほとんどが内視鏡治療で治すことができます。それだけに、症状の出ないうちに内視鏡検査を受けることをおすすめします。