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内科:山北 宜由

高血圧症の種類

高血圧と診断されると、誰もが、すぐ高血圧の薬をのんで治療が始まると思いがちですが、ちょっと待ってください。現在日本では、高血圧の患者さんは3000万人いるといわれていますし、今年(2003年)発表された、米国第7次合同委員会(JNC-7)の報告では、正常血圧を収縮期血圧120mmHg未満、拡張期血圧80mmHg未満とし、収縮期血圧120以上139以下、拡張期血圧80以上、89以下の人は、前高血圧としていますので、血圧に注意しなければならない人は、やたらと多いということになります。 従って、血圧が高いといわれた人は、自分の高血圧も、隣のオジサンや向こうのオバサンの高血圧と同じで何処にでもある高血圧と思いがちです。 しかし、いわゆる「本態性高血圧症」といわれている、現在のところ原因が良く分かっていない高血圧、言い換えると、恐らく幾つもの要因(高血圧に関わる遺伝子の違いや食事、運動、生活習慣など)によって起こっているであろう高血圧ばかりが「高血圧症」ではないということに注意する必要があります。 本態性高血圧症は全高血圧症の90%を占めていますが、その他、明らかな原因があって高血圧になっているものが10%あります(二次性高血圧症といわれてきました)。従来、この10%の内では腎臓疾患があって高血圧になっているものが最も多いとされ、その他、血圧を上げるホルモンが異常に分泌されることによって高血圧が発生している内分泌性高血圧もあります。内分泌性高血圧にはいくつもの病気がありますが、腎臓の傍にある副腎という臓器から分泌されるアルドステロンというホルモンが沢山分泌されて高血圧が生ずる原発性アルドステロン症という病気が有名です。副腎に腫瘍(殆ど全て良性です)ができたり、副腎が正常より大きくなってアルドステロンがたくさん分泌されます。 1950年代に発見された病気ですが、以前は、全高血圧の0.5%程度しかないとされてきたのですが、最近の研究では、全高血圧の20%がこの病気だとの報告もありますし、日本からの報告でも全高血圧の6-7%はこの病気によるものだとの報告があります。最終的な結論はもう少し検討が必要でしょうが、高血圧の原因がわかっているなら、その原因を突き止めた上で、最も適切な治療を受けるべきです。 たった一つの遺伝子異常から高血圧が起こっている稀な高血圧症もありますが、その他にも、幾種類もの「ある単独の原因によって生じている」高血圧症があることを忘れてはなりません。従って、初めて、高血圧ということで病院を受診したら、最初から闇雲に薬による治療を要求せず、きちんと検査を受け、高血圧のタイプを調べた上で、最も適切な治療を選択してもらうようにしましょう。
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