日本消化器病学会の定義では、便秘とは1週間に2回以下しか排便がないことです。排便は1週間に3回以上あれば毎日なくとも便秘とは言いません。問題となるのは排便困難や腹部膨満感(ぼうまんかん)など症状を伴う便通異常で、これを「便秘症」といいます。日本人の便秘で最も多いのが大腸の蠕動(ぜんどう)や緊張の低下による「弛緩性(しかんせい)便秘」です。これには体を動かしたり、歩いたりすることも有効です。排便習慣は個人差が大きく、排便が毎日なくてはならないと強迫観念にとらわれる必要はなく、精神的にもリラックスした生活を送ることが大切です。
便秘のときには便塊を増やし、排便を促す作用のある野菜や果物などの食物繊維を積極的にとるようにしてください。食物が胃に入ると大腸が活発に動く「胃結腸反射」を利用して、毎日朝食後に排便を試みることもよいでしょう。腹痛や悪心、嘔吐(おうと)を伴う便秘では医療機関受診が必要で、浣腸や下剤は医師と相談してからにしてください。1年以内に始まった便秘や、急に頑固な便秘が1週間以上続く場合は、大腸がんの可能性が高いといわれています。