地域の中で認知症診断、治療、支援を行いましょう
高齢化社会の到達とともに、認知症を患う人は増加しています。
認知症といえばアルツハイマー病が知られていますが、これは脳の中の神経細胞の間で情報ネットワークが何らかの原因で壊れ、特に記憶に関する脳の働きが悪くなり、「もの忘れ」などの症状がでてくる病気です。当院におきましては、そのような症状の患者さんの診察や知能検査などによって診断を行い、認知症の疑いがあれば、MR装置と脳血流SPECT検査という最新の画像診断装置によって診断の精度を高め、他の認知症を来す疾患との鑑別も可能です。
また、治療薬としましても、これまで10年以上にわたって、1種類しかありませんでしたが、本年春より新たに3種類の新薬が使用できるようになりました。症状や病期に応じて治療薬の選択の幅も広がり、より充実した治療が行うことができるものと考えています。
しかし、認知症の治療として最も大切なものは、住み慣れた環境とご家族のケア、そしてご家族の負担を軽くするための地域全体での介護・福祉の取り組みです。当院では医療福祉相談員を中心として、地域の介護・福祉機関と密な連携を進めていますので、何か不安を抱えていらっしゃる方はご相談ください。また、認知症を来す病気の中には、ビタミン不足や甲状腺機能低下症、あるいは正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫などのように適切な診断、手術を含めた治療によって治る可能性のある疾患もありますので、かかりつけの先生ともご相談いただきながら、専門医の診察を受けてください。