ロタリックスとは、昨年に発売された乳幼児のロタウイルス感染による胃腸炎を予防するためのワクチンです。生後6週~24週までの赤ちゃんにしか投与できません。ロタウイルス胃腸炎は以前「白色便性下痢症」と呼ばれ、赤ちゃんの嘔吐下痢症(おうとげりしょう)の代表格でした。
日本では6歳未満の小児の年間約80万人(うち1割が入院)が、ロタウイルス胃腸炎に罹患(りかん)していると推計されています。ロタウイルスに感染すると、通常は胃腸炎をおこし、嘔吐・下痢を認めます。なかには脱水症状に陥ってしまうこともありますが、点滴や入院加療で多くは後遺症を残さずに治癒します。しかし重症化すると、神経系の合併症である脳炎・脳症を引き起こすことがあり、神経系の後遺症を残すことも稀にあります。ロタリックスは、ロタウイルス胃腸炎の予防効果が約90%といわれており、その効果は少なくとも2歳までは持続することが確認されています。ちなみにロタウイルスの重症化は2歳未満など低年齢の子に多いです。
ただし、ロタウイルスワクチンの効能には神経系合併症の予防については記載されていません。ですが、感染しなければ神経系合併症には至らないわけですから、ロタリックスを接種することをお勧めします。