図①のように、目を閉じている時に上まぶたの下端(まつげの生えている辺り)は、眼球を地球儀に例えると赤道よりも下、つまり南半球にあります。
目を開けると、図②のようにまぶたは北半球まで上昇するわけですが、この時まぶたを引っ張る上眼瞼挙筋(じょうがんけんきょきん)がまぶたの皮膚を同時に引っ張って、図②の矢印で示したように皮膚の折れたたみを作ってくれる構造になっているのが二重まぶたです。
ですので、先ほどの写真のように目を閉じている時に19mmあったまぶたが、目を開けている時には10mmしかないように見えるのです。
つまり、目を開けた時には邪魔になる皮膚をたたんでしまっておいて、閉じる時に出してくれる二重まぶたは、機能面では効率的と言えます。
一方、図③のように一重まぶたでは上眼瞼挙筋がまぶたを引き上げるものの、皮膚の折れたたみは、作れない構造になっています。そのために、目を開けた時に邪魔になる皮膚は、前頭筋というおでこの筋肉を使って、上に持ち上げなければなりません。皮膚がたたまれないために、目を閉じている時と、目を開けている時とで眉毛の高さは変わりますが、まぶたの長さに大きな変化はありません。
また、一重まぶたの人の中には前頭筋でまぶたの皮膚を持ち上げる習慣のない方もいます。模式図では、図④のようになりますが、写真の方が典型例です。一重まぶたですが、眉毛が上がっていないため、瞳孔が皮膚で隠されています。
図③ 開瞼時矢状断(一重瞼) 図④ 一重瞼で前頭筋を使わない開眼 前頭筋でまぶたの皮膚を持ち上げない人
一重まぶたの人に限らず、眼瞼下垂(がんけんかすい)で目を開けるのに絶えず、前頭筋を使っていると緊張型頭痛や肩こりの原因になることがあります。また、上の写真の人のように、一重まぶたでかつ前頭筋が皮膚を引き上げないタイプでは、上方の視野が狭くなっていたり、まつ毛が目に当たって刺激や不快感を覚えることがあります。
このように、一重まぶたは単に外見上の問題のみでなく、心身の症状を伴う場合があり、当院の形成外科では眼瞼下垂症(がんけんかすいしょう)に準じた手術を行っています。
※英文論文(PubMed Central 「Impact of Single Eyelid on Superior Visual Field」)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8929297/
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