健康で元気な赤ちゃんが無事に生まれてきてほしいという妊産婦とご家族の願いをかなえるために、医師や助産師は全力で取り組んでおります。しかしながら、予期せぬことにより、障害を持って生まれてくる赤ちゃんがいることも事実です。万が一、赤ちゃんに、分娩に関連して重度の脳性まひが発症した場合には、赤ちゃんとそのご家族をサポートしたいという想いから、当院は「産科医療補償制度」に加入しています。
産科医療補償制度とは
分娩に関連して発症した重度脳性まひの赤ちゃんとその家族に経済的補償を速やかに提供することに加えて、重度脳性まひ発症の原因分析を行い、将来の同種事例の防止に役立つ情報を提供することなどにより、紛争の防止・早期解決、産科医療の質の向上を図ります。妊産婦の皆様が安心して産科医療を受けられるように、当院が民間の損害保険に加入して補償する制度です。
産科医療補償制度の仕組み
補償の機能
※1 運営組織が定めた標準補償約款を使用して補償の約束をします。
※2 運営組織にて補償対象と認定されますと、運営組織が当院の代わりに保険会社に保険金を請求し、保険金が補償金として支払われます。
- 本制度は当院が加入する制度です。従いまして、補償に向けた掛金は当院がお支払いするものです。
- 上記に伴いまして、掛金相当分の分娩費の引上げを実施いたしますが、当院で出産された場合(22週以降の分娩)には出産育児一時金35万円に3万円が加算されることから、妊産婦の皆様のご負担は軽減されます。
原因分析・再発防止の機能
補償対象について
- 出生体重2,000グラム以上かつ在胎週数33週以上
- 身体障害者等級1・2級相当の重症者
補償対象の条件
- 2009年1月1日以降に出生した児のうち、上記の基準を満たす児が補償の対象となります。
- なお、出生体重、在胎週数の基準を下回る場合でも、在胎週数28週以上の児については、「個別審査」により補償となることがあります。
(詳しくは登録証裏面の補償約款「別表第一」をご確認ください。)
※先天性の要因、新生児期の要因は、本制度の補償対象となりません。
補償内容について
分娩に関連して発症した重度脳性まひと認定された場合には、準備一時金600万円と補償分割金2,400万円の補償金(総額3,000万円)をお支払いします。
補償申請の手順
- 当院では、分娩日をお知らせした妊産婦様にパンフレットに沿って看護師より制度について説明をさせていただきます。
- 説明終了後、妊産婦様に登録証に必要事項をご記入していただきます。
妊産婦様の手続きはここまでです。
- その後は、当院で運営組織である(財)日本医療機能評価機構に妊産婦様の登録を行います。
補償対象の条件
- 補償申請は、原則として、脳性まひの確実な診断が行われる生後1年以降に行うことができます。ただし、極めて重症の場合には、生後6ヶ月以降で診断が可能となる場合があるため、所定の要件を満たせば生後6ヶ月以降においても申請を行うことができます。
- なお、補償請求者(児)が生後6ヶ月未満で死亡した場合には、脳性まひと診断することが困難であるため、本制度の補償対象として認定されません。
(詳しくは登録証裏面の補償約款「別表第一」をご確認ください。)
産科医療補償制度についてのお問い合わせ先
産科医療補償制度専用コールセンター
電話番号:03-5800-2231
受付時間:午前9時~午後5時(土日祝除く)
その他注意事項
- 産科医療補償制度に加入している分娩機関での出産が、本制度の補償対象となります。転院される場合には、転院先の分娩機関が本制度の加入分娩機関かどうか(財)日本医療機能評価機構のホームページで事前にご確認ください。
※本制度に加入していない分娩機関で出産された場合には、補償対象となりませんのでご注意ください。
- 分娩機関に過失が認められ損害賠償金が支払われる場合、補償金と損害賠償金を二重に受け取ることはできません。
補償金と損害賠償金の調整が行われます。
- 制度に関する詳細は、補償約款、(財)日本医療機能評価機構のホームページをご確認ください。
妊産婦の皆様へのお願い
この制度に加入している当院では、妊産婦の皆様にこの制度の対象となることを示す「登録証」を交付します。必要事項のご記入などについてご協力をお願いします。(裏面に補償約款が印字されています。)
※「登録証」は、母子健康手帳に挟み込むなどして、出産後5年間は大切に保管してください。
- 登録証(表面)
- 補償約款(裏面)
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