かわばたレター

2017年7月のレター

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 梅雨入りしたのにちっとも雨が降らない、空梅雨なのかな、なんて思ってたらとんでもない豪雨。幸い岐阜では大きな被害はなかったようですが、新幹線まで止まってしまいましたよ。ほんと、近頃の天気は油断ならないですね。梅雨に限らず、季節の変化がわからなくなってませんか。私の家の庭に蕗が生えてるんですが、あの雨の直前には全部が倒れてたんです。暑さのせいかな、とも思ったんですが、雨上がりには見事に復活。元通りに立ち上がってました。なんと水不足だったんですね。蕗にとっては恵みの雨になったんだから、やっぱり雨は大切なんです。でもほどほどに降ってほしいですよね。

 6月の半ば頃でした。1通のお手紙が病院に届きました。差出人には心当たりはありませんが、とにかく読んでみたんです。中学3年生の女の子からのお手紙でした。私のNHK「プロフェッショナル、仕事の流儀」を視たと書いてありました。とても感動し、自分も産科医になろうと思ったんだそうです。夏休みの課題を私をテーマにしたいのでインタビューをさせて欲しいという内容でした。驚いたのはその続きです。なんとこの中学生は私がとりあげた赤ちゃんだったんです。お母さんからのお手紙も同封されてました。もちろんすぐにお返事を送りました。これを断る訳にはいかないですよね。夏休みを利用して会いましょうと約束しました。どんな話になるのか、楽しみです。 ここのところ、このような出会いが続いてるんです。病院の中で救命士の方から声をかけられました。うちの子どもの首に腫瘍があったのを先生に見つけてもらって治療してもらいました。今はすっかり元気で部活に熱中してます。病気は大変なんですが、こういう治せる問題は気持ちが楽なんですよ。ご両親のモチベーションを維持することができれば、産まれる前の検査も産まれた後の治療にも積極的に臨んでもらえますからね。 病院からの帰り道、突然車が止まって女性の方が降りてきたんです。お名前を言われてもすぐにはピンと来なかったんでが、23年前に岐阜大学で三つ子を産んだお母さんだったんです。当時はNICUがありません。絶対に早産はさせられないと、みんなで頑張ったんです。帝王切開になったんですが、なにせ3人の赤ちゃんが次々に産まれてきます。執刀する私の向かい側には4人の後輩医師に列を作って並んでもらいました。順番に産まれてくる赤ちゃんを抱いて、術野から新生児処置台に運ぶんです。そして最後の1人と私で手術を終了させました。決して大きくはない手術室に、産科医と小児科医、助産師と手術室の看護師がひしめき合ってました。お母さんは36週の半ばまで頑張ってくれたんです。元気な3人の産声はもはや騒音状態です。でもあんなに心地いい騒音は初めてでしたよ。聞けば3人とも立派に成長し、1人はすでに結婚されたそうです。ありがたくも、嬉しいお話です。長いこと続けてきたご褒美なんでしょうか。でもうっとうしい梅雨にこんな素敵な思いができるなんて。ほんとに産科医冥利につきますね。

 さてさてFC岐阜。負けてはいないんですが、勝てないんです。天皇杯の2回戦では同じJ2の徳島に完勝したんですが、リーグ戦に戻ると4点もとったのに6点取られて負けちゃいました。これで9試合勝ちがないんです。ボコボコにされた訳じゃないんで、余計に悔しいですね。でもそういう嫌な流れのときもあるっていうことなんでしょう。今は我慢のとき。ボールも人も動く、観ていて楽しいサッカーをやってくれてるんですから、きっと調子も上向いてくるはずです。梅雨が明ければ、一気に勝ち点を重ねてくれるでしょう。期待を込めて、ガンバレ!エフシー ギフ!!                                                                                                

ではまた。

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