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2023年4月から当院では「呼吸器センター」を開設しました。近年国内における死亡原因の1位である「がん」の中でも、肺がんは最多の死亡数を記録し続けています。(部位別がん死亡率[2020年]『肺』…男性:1位、女性:2位*)そこで当院は、4月に呼吸器外科専門医である丸井努医師を迎えることを契機に、呼吸器内科・呼吸器外科・放射線治療科による「呼吸器センター」を立ち上げ、放射線診断科・病理診断科・がん治療センターと連携し、さまざまな呼吸器疾患への診療体制を強化します。
▼YouTubeにて、紹介動画を公開中(リンク先に飛びます)▼ |
【呼吸器内科】常勤3名 ・総合内科専門医:2名 ・呼吸器専門医・指導医:1名 ・気管支鏡専門医・指導医:1名 ・がん薬物療法専門医・指導医:1名 ・がん治療認定医:2名 | <放射線診断科> |
【呼吸器外科】常勤2名 ・外科専門医・指導医:2名 ・呼吸器外科専門医:2名 ・がん治療認定医:2名 ・胸部外科認定医:2名 ・呼吸器専門医・指導医:1名 ・気管支鏡専門医・指導医:1名 ・緩和医療認定医:1名 | <がん治療センター> |
【放射線治療科】常勤1名 ・放射線治療専門医:1名 ・がん治療認定医:1名 | <病理診断科> ・病理専門医:2名 ・分子病理専門医:1名 ・細胞診専門医:2名 ・細胞診指導医、教育研修指導医:1名 ・臨床検査管理医:1名 |
(2024年4月時点) |
当院の呼吸器センターには、以下の特徴があります。そのほか、2022年12月に開設したがん治療センター内の「薬物療法センター」では、26名を一度に薬物療法で治療することが可能であり、肺がん患者さんの薬物療法をサポートしています。
呼吸器センターには、呼吸器外科専門医2名が在籍します。呼吸器外科専門医が2名以上在籍している病院は、当院を含めて県内で4病院(大学病院[1]、公立病院[2])のみ*注1で、充実した医師の体制のもと、呼吸器疾患への対応が可能となります。 (*注1 2023年4月時点)
肺がん・食道がん・甲状腺がんなどで気管や太い気管支が狭くなり、急に強い呼吸困難を起こした場合、硬性気管支鏡という特殊な道具を用いて、全身麻酔のうえ、気道を確保して苦痛を取り除く方法を実施しています。
硬性気管支鏡を用いた治療を実施している県内施設は3病院(公立病院[2])のみ*注2で、当院呼吸器内科では2021年から開始して、現在県内最多の症例数を実施しています。 (*注2 2023年4月時点)
▲硬性気管支鏡
当院では、2022年から手術支援ロボット(ダヴィンチ)による肺がん手術を行っております。
手術は、図の如く3-4cmの皮膚切開1箇所と1-2cmの皮膚切開4箇所で行います。
医師はカメラで映し出された映像を見ながら、ロボットアームを操作して手術を行います。ロボットアームは医師の手と連動していて、狭い空間でも自分の手の如くに操作ができます。
医師が見るカメラの画像は、デジタルズーム機能で10倍まで拡大して見ることができます。また、操作する医師の手先の震えがロボットアームに伝わらないように、手ぶれを補正する機能もあり、緻密で正確な手術が可能になります。
2023年には20人の患者さんにロボット手術による肺がんの手術を行いました。入院期間(中央値)は6日でした。術後の痛みも少なく、回復も早いため早期の退院、社会復帰が可能となります。
内視鏡手術支援ロボット(ダヴィンチ)を使用した肺がんや縦隔腫瘍手術の保険適用は、岐阜県内では当院と岐阜大学病院の2病院のみです(2024年2月時点)。
▲肺がん手術の様子 |
2023年2月20日から、「胸部X線画像の読影支援AIシステム」を導入しました。X線画像(レントゲン)は、胸部疾患のスクリーニング検査に広く用いられ、胸部に異常がないかを読影します。胸部の読影は見落とし・見過ごしのリスクが高いとされ、時には肺がんの発見が遅れることがあります。今回のAI解析技術を導入することで、肺がんを見落とすリスクが減少し、肺がんの早期発見につなげることが期待されます。今後は、周辺医療機関にもサービスを提供することを予定しており、地域の肺がん患者の早期発見・早期治療に寄与できるよう体制を整えてまいります。
また2023年2月には放射線治療の林昌秀医師が赴任し、同4月からは放射線科を放射線治療科と放射線診断科に分け、放射線治療の専門性を高めます。今後、放射線治療装置を新たに導入し、肺がん治療における放射線治療領域も強化してまいります。
▲胸部X線写真で、異常が疑われる部位を赤い枠でAIが指摘します。 | |
▲AIで異常が発見された箇所にCT検査を実施したところ、病変が発見されました。 |
当院は呼吸器の臨床研究においても、実績を積み重ねています。厚生労働省が研究資金を提供している「LC-SCRUM-Advantage/MRD研究」では、全国60施設が参加しており、当院は全国で4番目に多い症例数*を登録しています。 (*注1 2023年4月時点)
また「早期肺がんCT-AI診断に関する国際臨床研究」にも参加しており、国内に留まらず、国外の臨床研究にも注力しています。
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