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乳腺外科

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乳がん「早期発見・早期治療」へ

乳がんは、日本人女性の12人に1人がかかると言われ、がん部位別死亡原因では、5位ですが、女性のがん羅患率の第1位となっています。しかし、乳がんは治りにくい病気ではありません。早期に発見・治療をすると、90%以上が治るという結果も出ています。
乳がんは40代後半の女性に発症することが多く、働きざかりの女性に多い病気です。
乳がんとは、乳がんの乳腺に発症する悪性腫瘍で、乳房のしこりや乳頭から黒い分泌物が出るなどの症状があります。また種類は大きく分けて非浸潤がんと浸潤がんに分けられます。
非浸潤がんは基本的に転移しないため、手術のみで治る可能性の高いがんです。浸潤がんは、転移の可能性があり、多くの場合、手術のみに頼るわけにはいかず、薬物療法(抗がん剤・ホルモン剤)、放射線治療等を用いて治療を行います。
乳がんの治療には、手術療法、薬物療法があり、これらを組み合わせ最大限の効果が期待できる治療を行います。基本は手術による腫瘍切除による摘出ですが、再発リスクと術後の整容性を考慮しながら、乳房を全て削除する「全摘術」が、切除を周辺に止める「乳房温存療法」を選択します。当院では、不必要なリンパ節郭清を行わないためにアイソトープ方と色素法のセンチネルリンパ節生検を行っていきます。

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外国の方で受診をご検討されている方へ

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主な対象疾患
乳腺外科では、以下の疾患などを対象とします。
  • 乳腺疾患
  • 乳癌

診療のご案内

診療時間について

●毎週火曜日(午前・午後)
●毎週水曜日(午前・午後)
●毎週木曜日(午前・午後)
●毎週土曜日(午前)


診療担当医表は下記でご確認ください。

医師紹介
役職氏名
まつなみ健康増進クリニック クリニック長 兼 統括乳腺外科部長花立 史香
乳腺外科部長森 美樹
乳腺外科医員杉本 舞子
乳腺外科医師湯村 知佳
診療内容

疫学

日本では、乳がんは1996年以降、女性の悪性腫瘍の部位別罹患数で1位となっています。2011年には72,000人の人が罹患しており、2008年には日本女性の約12人に1人が乳がんに罹患したといわれています。発症のピークは45歳から49歳です。乳がんと診断された方の30%が乳がんを原因として死亡しており、毎年約1万人の方が亡くなられています。また65歳未満の比較的若い世代で女性の癌死亡の第1位となっています。 乳がんは診断時の病期によって生存率が大きく異なり、0-1期の場合であれば5年生存率は90%を超えますが、4期であればわずかに約10%です。早期発見・早期治療が乳がん患者さんには大切なのです。 乳がんのリスク因子(乳がんに罹りやすくする危険な要因)には腫瘍抑制遺伝子の欠損、12歳未満での初潮、55歳を超えての閉経、高年齢での出産、妊娠経験や授乳経験のないこと、若年期または多数回の放射線暴露、長期間のホルモン補充療法、乳房密度の増加、社会経済上の地位が高いこと、閉経後の肥満、食事とくに動物性脂肪や蛋白質の摂取量が増加し、炭水化物と線維の摂取量の減少などです。

乳がんの発生

乳房は乳頭を中心に乳腺がぶどうの房のようにひとつの腺葉をつくって、放射線状に約15個並んでいます。その腺葉の細かい乳管の上皮細胞からほとんどの乳がん(90%)は発生します。ごく一部の乳がんは小葉の上皮細胞から発生します。

乳がんの種類

乳がんは大きく分けて非浸潤がんと浸潤がんに分けられます。非浸潤がんは基本的に転移しないがんですので、手術のみで治る可能性が高いがんです。浸潤がんは転移の可能があり、多くの場合、手術のみに頼るわけにはいかず、薬物療法(抗がん剤、ホルモン剤)、放射線療法等を用いて治療を行う必要があります。

乳がんの診断

乳がん診断のための検査手順は下記の通りです。

(1)触診

診断の基本です。乳房全体と脇の下を診察します。乳房はしこりの有無、大きさ、硬さ等、脇の下はリンパ節の腫れを中心に診察します。

(2)トモシンセシス機能搭載 デジタルマンモグラフィシステム(乳房レントゲン)

従来のマンモグラフィと同様の撮影方向で、乳房の断層像(CTのような輪切りの画像)を得る撮影になります。
当院では、最新の専用機械を導入し、少しの被ばくでマンモグラフィと同時にプラス数秒でトモシンセシス撮影することができます。
トモシンセシス撮影をすることにより、さらに細かく乳房内を観察することができ、より早期の乳がん発見に寄与できると言われています。

トモシンセシス機能搭載 デジタルマンモグラフィシステムのご紹介


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(3)超音波検査

触診では見つけられないような小さな腫瘤やマンモグラフィで解らないような腫瘤もとらえることができる場合があり、マンモグラフィと相補的に行われる検査です。

(4)MRI検査

マンモグラフィや超音波検査では良性、悪性(がん)の区別がつきにくいときに行います。がんそのものの診断やがんの広がりを診断するのに有効です。

(5) 穿刺吸引細胞診検査

触診や超音波検査等で腫瘤がみつかったときなどに細い注射針を刺して吸引を加えて細胞を採取し、良・悪性の判定を行います。

(6) 生検(針生検、吸引式組織生検)

穿刺吸引細胞診で診断が困難な場合は、針で組織を吸引して採取する方法で、最も信頼のおける検査です。

乳がんの治療

乳がんの治療は手術療法、抗がん剤による薬物療法、放射線療法によって行われます。

(1) 手術療法 

手術の目的は乳房内の腫瘍と腋窩(脇の下)リンパ節を必要十分に切除することです。


a) 乳房の腫瘍切除

乳房温存手術と乳房切除手術とがあります。乳房温存手術では腫瘤から約2cm離したところで、乳房を円状に切除します。手術中に、その切り口を調べることによってがんが十分とりきれているか迅速病理組織検査を行い、がんの根治性をより確実なものにします。とりきれない場合は乳房切除術に変更になります。乳房の切除で傷の大きさ・場所は大きな問題です。当院では出来るだけ目立たない場所に小さな傷で手術が出来る様に内視鏡を用いた手術方法も取り入れています。 乳房温存手術を受けられた方は原則として温存乳房に放射線を照射します。

参考
乳房温存療法の適応はガイドラインによれば以下のように考えられています。
『根治性と整容性(術後の乳房の形がいかに手術前の状態を保てるか)を両立させることがポイントであるが、適応となる腫瘍径は3cm以下で、良好な整容性が保たれるのであれば4cmまで許容される。多発の場合は2個までが一般的にすすめられる。また大きな腫瘍の場合でも術前化学療法で小さくしてから行うことは可能である』。

b) 腋窩リンパ節郭清(リンパ節を広範囲に取り除くこと)

乳がんのリンパ節の切除の目的はひとつには脇の下のリンパ節に跳んだがんを取り除き、将来その部位のがんが成長してくることがないようにすることと、もう一つはリンパ節のがんの転移の有無を知ることによって手術後の再発の危険の度合い(再発率)を予測することが可能になるからです。もし、転移が見つかった場合には再発の危険を少しでも減らすために術後の薬による治療が必要になります。しかし、リンパ節の郭清は術後の腕のむくみや脇の下の知覚障害をひき起こす可能性があります。その後遺症を少しでも減らすため、現在当院ではセンチネルリンパ節の考えを導入しています。

c) センチネルリンパ節生検

現在までの研究で、乳癌の患者さんの約40%が脇の下のリンパ節に転移していることが明らかになっています。したがって残りの60%の患者さんではリンパ節に転移がないことになります。しかし現在の検査では手術する前に転移していないことを正しく診断することはできませんので、患者さんの脇の下のリンパ節を広い範囲で取り除くことが標準的な手術となっていました。最近の研究ではセンチネルリンパ節というものを数個とって調べることで脇の下のリンパ節に転移があるかどうかを診断できるとの報告が多く発表されてきています。この報告が正しいとすれば転移のない約60%の患者さんは不要な脇の下のリンパ節を取り除く手術を避けられる可能性があります。

センチネルリンパ節:癌が一番最初に転移するリンパ節のことです。このリンパ節を調べることで他のリンパ節の転移の有無を推測することができます。


センチネルリンパ節をみつける方法:手術前に乳房のしこりの周囲にアイソトープ室で診療用放射性同位元素(アイソトープ)を注射し、シンチカメラで写真を撮ります。手術時に、ガンマプローブ(放射線を検出する装置)で位置を確認してセンチネルリンパ節を切除します。この際にリンパ節の発見をより容易にするために色素を手術直前に、やはりしこりの周囲に注射します。切除したセンチネルリンパ節は顕微鏡検査で癌の転移を調べます。もしこのリンパ節に転移がないことが解れば、それ以上のリンパ節を取らず手術を終了することが可能です。リンパ節に転移があった場合にのみ広くリンパ節を切除すれば良いのです。当施設では今までに100例以上の方にセンチネルリンパ節生検を行い、ほぼ100%の同定率です。またセンチネルリンパ節生検の結果、癌の転移が陰性であった約80%の患者さんは脇の下のリンパ節を広く大きく取る必要は無く、結果として肩関節障害、腕の痛み、腕のしびれ、リンパ浮腫が生じる可能性が減少しました。

※乳房に注射する放射性同位元素の放射線量は通常の検査で使用する放射線量の10-20分の1程度であり、人体への安全性には問題がありません。色素も人体にはほとんど問題がないといわれています。

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d)乳房再建術

乳房再建術は現在では保険で行える手術となっています。乳房再建術といっても下記のごとく手術方法は様々です。当院では患者さんと相談のうえ、形成外科の協力のもと、個々に合った再建法を行っています。

人工物を使用する方法
通常生理食塩水の入った袋状のものを使用します。
自分の組織(筋肉や脂肪)を使用する方法
  • 腹直筋脂肪弁法:腹直筋およびその周囲にある脂肪を皮下のトンネルを通して胸部に移動させ乳房としてのボリュームに利用します。
  • 広背筋脂肪弁法:広背筋(背中にある筋肉)およびその周囲にある脂肪を前方に移動させ乳房としてのボリュームに利用します。

(2)薬物療法

最近の乳癌の治療法では、手術と同じ位、薬による治療の重要性が高まってきています。世界的になガイドラインに基づいた治療が現在日本でも推奨され行われつつあります。大きく抗がん剤治療とホルモン治療に分けられます。

a)抗がん剤

術前化学療法、術後補助化学療法、再発治療に使用します。術前化学療法は乳がんが大きく乳房温存療法が困難な患者さんに行うことにより、癌を小さくして乳房温存治療を可能性を高めるという治療です。術後化学療法は手術は受けられたけど再発の可能性のある患者さんに、少しでも再発率を下げる目的で行われます。再発治療でも抗がん剤は薬物療法の中心となります。それぞれの患者さんに合った薬を選択し、効果・副作用を考慮して生活の質(QOL)を出来るだけ犠牲にしないよう使用します。

b)ホルモン製剤

女性ホルモンがあるとどんどん大きくなるタイプの乳がん(乳がんの70~80%といわれています)に対してはホルモン製剤が効果的といわれています。術後補助療法、再発治療に使用されます。

(3)放射線治療

乳がんに対する放射線治療は、乳房温存手術や乳房切除後の再発予防目的の照射、進行・再発乳がんに対する照射、骨・脳転移に対する姑息照射(症状を和らげる・進行を遅らせるための照射)等があります。

過去10年分 年度別手術症例の推移

過去10年分 年度別手術症例の推移グラフ

年度別手術術式の推移

乳房温存手術の占める割合は60%を超え、乳房切除のみの手術は20%未満となりました。

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